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社説 「中古」という表現、やめよう

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 日本語の「中古住宅」という言葉には、新築よりも魅力が落ちるという意味合いが込められている。年長者だと「ちゅうぶる」と発音する人もいて、いっそう品質の劣化を想像させる。

 言葉が意識に作用する力は大きいから、「中古住宅」という言葉を使っているかぎり、国や業界が進めている中古住宅市場活性化の足かせになる。

 現在90万戸程度供給されている新築住宅は、全住宅ストック約6063万戸(13年住宅・土地統計調査)と比べると、わずか1.4%に過ぎない。全体の98%以上を占める住宅をわずかな新築と対比し、あえてその資産価値を貶めるような表現を使うのは非合理的である。

 野村総合研究所の推測によれば今後新築供給戸数は25年度に64万戸、30年度には53万戸と減少していく。50万戸台ともなれば、全ストックに対する比率は確実に1%を割ることになる。

 そもそも、中古住宅は本当に新築よりも価値が低いのだろうか。確かに、プレハブ住宅やマンションの歴史に見られるように、年々品質が向上していた時代もあった。しかし、少なくとも住宅性能表示制度が導入された00(平成12)年以降は、ある意味で住宅の品質は確立されたとみてもいいだろう。現に適切な維持管理がなされることを条件に60年以上の保証を付けているハウスメーカーは少なくない。また、ずっと人が住み、築年を重ねているからこそ、住まいとしての安全性が証明されているということもある。

 ハードや品質面では一定のレベルが確保され、インスペクションや既存住宅瑕疵保険などの制度も整いつつある今、中古住宅市場活性化は本来ならもっと自然に進んでいるはずだ。問題があるとすれば、むしろ業界で働く人たちの意識が遅れているのではないか。中古住宅という言葉が、改革を邪魔しているのである。

 では、なんという呼称にすればいいのか。ただの「住宅」でいい。「住宅」といえばそれは中古住宅のことであり、「新設住宅着工戸数」のように、特に新築であること示す必要があるときに、新設または新築と言えばいいのである。 例えば、「社員」といえば普通は既存社員である。新人であることを強調するときにわざわざ新入社員と言うようなものである。

 ついでに付言すれば、「中古」という言葉を使っている限り、住宅は資産であるにもかかわらず耐久消費財であることを示唆していることにならないか。このことは、住宅は本来なら資産であるのだから、住宅に掛かる消費税を軽減税率にすべきと主張している業界にとっても、不利になることを指摘しておきたい。

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