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社説 長寿時代の住宅・不動産業 「共助」の視点忘れずに

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 金融庁が公表した人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書「高齢社会における資産形成・管理」が国民の関心を呼んでいる。年金生活に入った高齢夫婦が、その後20~30年を生きていくためには年金収入だけでは足りず、単純計算で1300万~2000万円を貯蓄から取り崩すことになるというもの。その内容の是非はともかく、老後の必要資金について国民が改めて考えるきっかけになったことは間違いない。

 現在、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳、今後は更に長寿化が見込まれている。人生が長くなれば、それだけ資金が必要となるが、その資産形成の方法が超低金利の預貯金だけというのでは心許ない。高齢になって、自分の寿命をにらみつつ命綱ともいえる預貯金が毎月減っていくのを見ながら生活するのは何とも不安だ。事故や病気といった思いがけない出来事が起こることもあるからだ。

 それはともかく、老後の生活に関心が向いている今こそ住宅・不動産業界は、長寿社会を見据えて国民に対する新たなサービス・商品の開発やその普及に力を注ぐときである。例えば、長期運用を前提とした少額から投資できる不動産投資商品や、リースバックのような自宅を活用した老後の資金調達手法、金融機関によるリバースモーゲージと連携した〝第2の人生〟向けの住まいなどだ。更には病気になりにくい健康増進型の住まいづくりなども想定される。またフランスには古くから「ヴィアジェ」という不動産取引の一形態がある。これは高齢者が自宅を売却し、住み続けながらその代金を分割して死ぬまで年金的に受けとるものだが、日本でもこうした新しい手法を検討すべきではないか。これからの長寿社会を前提とした新しいニーズの掘り起こしこそ、息の長いニュービジネスにつながるだろうし、ひいては国民の信頼を得る好機にもなる。

 今回の金融庁の報告書は、年金という「公助」の限界をほのめかしつつ、資産形成などによる「自助」を勧め、自立の精神を促しているように見える。ただ、日本全体としてこれからの超高齢社会を乗り切るためには「自助」だけでは限界があるのではないか。各々が自分を守るために備えつつも、「共助」にも目を向けるべきだ。

 例えば生活基盤である住まいについては、増加が見込まれる単身高齢者が地域で孤立しないような手立てや、親と子世帯の近居を促すサービス付き高齢者向け住宅と一般分譲マンションの一体開発、高齢者から若年世代までが助け合いながら暮らす多世代型シェアハウスなどが考えられ、いずれも住宅・不動産業界が担うべきものばかりだ。既に一部のディベロッパーでは取り組みが始まっているが、こうした地域住民が助け合って暮らすコミュニティづくりも、住宅・不動産業の時代的役割だと考える。

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