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地方創生 試される本気度 (4)社会構造変化 地域精通者が存在感を示す時 遊休不動産を活用した成功事例も散見 官民とも需要創出へ粘り腰

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地方には人を呼び込む豊富な資源がある
 総務省の概算値によると日本の総人口は今年10月1日現在で1億2512万人と前年同月比59万人減っている。2050年には1億人を割り込むと言われているが、新型コロナにより出生率が急落して想定よりも速いペースで人口減少が進むとの見方も増えている。100年後の話ではなく、今後30年ほどで人口の5分の1が消滅するのだ。社会経済活動に与えるインパクトは計り知れず、不動産業界にとって死活問題と言っても過言ではない。

 人口減少でマスプロダクションに基づく住宅政策は構造的に行き詰まることが明らかとなった。戸数主義的な発想からの転換が必要となり、空き家問題は地方だけでなく都市部にも波及する。高度経済成長期に〝都市への大量移住〟が進んだことで住宅を大量に供給したが、その多くが持ち家という避け難い事実が重くのしかかる。団塊世代は25年には後期高齢者だ。人生終盤での選択肢

 そうした中で、資産の組み換えを選択する高齢者は珍しくない。東京23区で戸建て住宅に住む70代後半の男性は築50年近い自宅を売却して中古マンションを購入することを決め、郊外に引っ越す。商業施設や医療施設など利便性が失われていない場所で5000万円ほどで購入する。

 「2階建ては高齢者にはキツイ」として住空間がフラットなマンション生活を始める。敷地30坪の自宅の売却額は1億円を超えた。別の70代半ばの都内在住の男性は、大手商社を定年退職した後に静岡・熱海に別荘を購入して都内の自宅との二拠点居住をしながら都心の法律事務所で嘱託として働いている。

 こうした資産の組み換えや、複数拠点生活を地方の活性化につなげられるか。

 道州制の導入や全国一律の制度と極端な中央集権が見直されれば地方活性にチャンスが広がる。コミュニティ形成はコンパクトシティ化によってモビリティの分散化を防ぎ、エネルギーの効率性も高める。「日本が経済的に成長するには1000万人規模の移民政策が必要になるだろう」(与党幹部)など様々な声が聞かれる。しかし、「言うはやすしだが、なかなか難しい」(民間シンクタンク)。

地域経済の停滞待った

 地方創生有識者会議では、「地方創生で何を目指すのかというゴール設定が重要」「テレワークや兼業・副業など他地域就労を行うための仕組みや制度が追いついていない」「デジタル技術は手段にすぎないが、過疎地域こそ情報通信基盤の整備が不可欠」などの意見が出されている。個々の地域特性を踏まえての対応が欠かせない。

 だが事例は散見されるようになった。北九州市の小倉中心市街地は、地域経済の停滞で増えた遊休不動産をゲストハウスとし、地域の食材を結び付けたダイニングを併設して地域活性と雇用の創出につなげた。物件と新規ビジネスのオーナーをつなぐ現代版の家守として地元専門家などで設立したまちづくり会社が主体となって連鎖的に遊休不動産のリノベーション事業を展開した。石川県小松市では、青山財産ネットワークスと清水建設の提案を採用し、小松駅前の遊休市有地(百貨店跡地)をホテル・大学・子育て支援等の官民複合施設を整備。市有地を建物譲渡特約付きで50年間の定期借地として民間事業者に賃貸するなどで地域経済の底上げを図った。

取引環境の整備急務

 地方に興味を示す若者も増えている。所得が伸びない現状から新築の優先度が下がっている面もあるが、地方で築古の戸建て住宅を購入してリノベーションを施して住む。リモートワークの導入も若年層の背中を押す。地方の築古物件をあえて選好する〝ボロ物件投資家〟は50万~100万円で家を買い、リフォーム後に貸し出して30~50%の高利回りをたたき出す。

 今年3月の全国二地域居住等促進協議会の設立総会で赤羽一嘉・国土交通大臣(当時)は、「昨年スタートした低未利用地の100万円補助について多くの人に使ってもらっている」と述べた。

 この制度は個人が500万円以下の不動産を売却したときに、その譲渡所得から100万円を特別控除できる。適用期間は22年12月31日までで所有期間が5年を超える不動産を対象としている。

 国は地方の物件の流動性を高める政策にカジを切った。不動産仲介手数料は400万円以下の売買価格の場合、売り主から最大18万円徴収できる。不動産価格が安い地方の売買報酬では経営が苦しいとして18年に仲介手数料率が改正された。それまでは201万~400万円の場合、「不動産価格の4%+2万円」、200万円以下の場合は不動産価格の5%が手数料の上限だった。来年5月には不動産取引の電子化も本格化する。

 新型コロナウイルスが長引き、国民の価値観に相当程度の影響が出ているとされる中で、地域需要に精通し、取引を現場で支えている仲介事業者の役割にも期待している。

  (このシリーズ終わり)

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