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社説 新しい資本主義と不動産業 〝人間産業〟へのイノベーションを

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 岸田政権の「新しい資本主義実現会議」は先月、緊急提言をまとめた。その前文にはこうある。「持続可能性や〝人〟を重視し、新たな投資や成長につなげる新しい資本主義構築の世界的動きを我が国が先導する」。 更に、新しい資本主義とは「民間企業が長期的な視点に立って、〝三方良し〟の経営を行うことで、広く関係者の幸せに繋げること」とも指摘している。近江商人の経営理念といわれる思想を世界経済の基本的な価値観にするということであれば、まさに日本が先導すべき潮流である。

 〝三方良し〟という表現は、伊藤忠商事の創業者、伊藤忠兵衛が「商売は菩薩の業(行)、商売道の尊さは売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」と言ったのがルーツといわれている。つまり、「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」というわけだから、なんのことはない、新しい資本主義とは人間社会として当たり前の感覚に戻ろうということである。

 不動産業も現在、消費者の利益保護の観点からコンプライアンス(職業倫理)が叫ばれ、長期的視点から建物の寿命を制する管理のあり方が問われ、豊かなコミュニティの形成など地域社会への貢献が求められるようになった。つまり公益性重視に舵を取り始めた。ということは、住宅・不動産業は今日本の新しい資本主義社会を先導するにふさわしい確かな目線を持ち始めたということである。

 緊急提言は成長戦略の柱として、第一に科学技術立国の推進を挙げる。では、住宅・不動産業が第一に掲げるべき成長戦略とはなんだろうか。不動産業が国民の暮らしを支える基盤産業であるとするなら、それは言うまでもなく、国民に寄り添うことを第一義とする〝人間産業〟へのイノベーションを起こすことである。イノベーションは不動産DXなどの新たな技術だけで成し遂げられるものではなく、不動産業界で働く全関係者の意識改革が必要である。新たな発想や意識改革は伊藤忠兵衛が指摘した「世の不足をうずめ」とは何を意味しているのかを考えることから生まれる。

 例えば、住宅を売り買いする商売で、売り買い共に利益を得ることは当然だが、その取引が〝世の不足〟つまり、これから住宅を得ようとする人たちの利益にもつながっていかなければならない。現市場のように価格が上昇し続けることは〝世の不足〟をうずめることになるのか、むしろこれから住宅を取得しようとする人々を苦しめることになるのではないか。だとすれば、現下の市場の活性化に安住するのではなく、その本質を見極め、次世代のためになすべきことは何なのかといったことに、業界人として深い想いを馳せることこそ人間産業への脱却を可能とする。

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