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住宅の断熱性向上等で国民の健康を守る 「医療・建築連携」構築へ 板橋モデル、全国へ波及目指す

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上原裕之理事長
 住宅の断熱性能向上等によりヒートショックや熱中症の被害を減らすため、医療福祉・建築連携の動きが進んでいる。医療と建築の専門家から成る連携体制を構築し、国民の健康維持や住まいの省エネ性向上に寄与する狙いだ。人口55万人の東京都板橋区では、先導モデルとして区、板橋区医師会を軸にした仕組みづくりが加速。医療と建築をつなぐ専門家同士の信頼関係が、地域包括の未来をつくる。

 同連携を裏方として支えるのが住環境改善によってヒートショックや熱中症対策を進める「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」(上原裕之理事長)だ。歯科医師である上原氏は、93年に自らの住宅の経験から「シックハウス」を命名。様々な啓発活動の結果、03年の建築基準法改正で住宅内の有害化学物質を削減し、多くの乳幼児のアレルギー疾患を減らすことに貢献した。「医師は医療行為と共に、公衆衛生によって国民の健康を守る職務もある」(上原氏)とし、化学物質の次に取り組むテーマに「住宅内の温度差、低室温」を定めた。

 16年には慶應義塾大学の伊香賀俊治教授と共に英国視察を行い、住宅の寒さが体に及ぼす影響を保健省が国民に啓発している事実を知った。帰国後、国交省と厚労省で同様の取り組みを提案したが、「国内のエビデンス不足」が取り組みの障壁となったため、国交省のスマートウェルネス住宅(SWH)事業を活用して調査を実施。5年にわたる伊香賀教授のエビデンスが海外の有名医学誌に取り上げられることで、それまで協力を見合わせていた日本医師会が、「国民会議」が受託した国交省事業の委員会に委員として参加することになった。

 「現場の医師会が主導し、その地域の自治体と建築の専門家団体を軸にモデルを作り、国に提案するほうが医療関係者や住民にとってベストな政策」(上原氏)との判断の下、これらの条件が整う板橋区で先導モデルの推進を国交省の補助事業として決定。「首長は建築士で、医師会を軸に歯科医師会、薬剤師会、看護協会の協力が得られる。関係課長の理解も深く、国交省や厚労省もオブザーバーとしてウェブ会議等を通じて意見交換を開催している」と、手応えを語る。

講習で「信用」を担保

 一方、医療側にとって住環境向上の取り組みは住民の健康のためのボランティア活動となる。そのため、知識や技術等のない建築関係者が参加することには抵抗感があるとし、この解消策として「国民会議」が21年12月に医師会メンバーや厚労省OBと協力して設計したのが「健康支援ビルダー/プランナー講習」だ。建築関係者は、医療福祉関連の講習と考査をクリアすることで、医療側との連携が可能となる仕組み。今年2月からは全国14カ所で地元の医師会と行政とのオンライン勉強会を実施し、講習受講者との接点強化も図る計画だという。

 板橋区とは21年度に連絡協議会を組織化し、次年度以降は同エリアの患者の住まいに対して一部屋断熱などの調査、効果確認に努めると共に、地域包括の仕組みを検討。必要な補助や支援があれば国に協力を求めていく方向で話し合っている。

 ヒートショックや熱中症による緊急搬送を減らし、介護に至る事故や簡単な風邪などの受診を減らすことは、住民や医療関係者のほか、財政負担を抑えたい自治体にとってもプラスとなる。上原氏は「健康に関する住宅の専門家をつくり、医者と一緒に健康な住宅の市場をつくることがゴール。まずは医者と共に地域貢献し、その先に仕事が生まれればいいという思いを共有できる建築専門家の参加を期待したい」と展望した。

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