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ポスト原発の新エネルギー 開発進む① 高まる風力発電のポテンシャル

連載 特集 住まいと暮らし

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■伏せられた「再生可能エネルギー」

 夏場の電力需要を睨んで原発再稼働の綱引きが続いている。

 震災前全電力の3割を占めていた原子力発電だったが、いまその分を火力発電が補っている。火力発電でも現状賄えている以上、おそらく家庭や企業の省エネが進めば、原発の再稼働なしでも夏場のピークは乗り越えられる可能性は高い。

 というのもこうしたデータは水増しされる、あるいは出てこない可能性もあるからだ。昨年経済産業省は、夏場の電力需要のピーク試算を6%の供給余力がありながら、これを伏せ、逆に9.2%の不足とした。その差は15%以上もある。

 この時、伏せられた供給電力源の1つが再生可能エネルギーだった。確かに現状、再生可能エネルギーがエネルギーの総需要に対し、応えられるのはわずかだ。昨夏の6%の余力電力試算の場合、最大需要1億6822万キロワットに対して、再生可能エネルギー由来の電力が供給できるのは350万キロワットで、わずか2%。火力の1億3784万キロワット 81%余りに比べれば圧倒的に少ない。かと言ってカウントしないのは、意図があったと思われて当然だろう。

 ただこのまま火力発電に電力の大半を担わせるわけにはいかない。火力発電の電源となる1次エネルギーは石炭、石油、天然ガスといった化石燃料であり、地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスを排出することで知られる。この温室効果ガスの排出削減は世界のコンセンサスであり、各国が取り組むべき最優先課題であることに変わりはない。

 鳩山由紀夫元首相時代には、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減することを世界に公約している。

 また化石燃料の大半は国外からの輸入で賄われており、エネルギーの安全保障上これに依存し続けることは、日本の経済的自立、国際社会におけるプレゼンスにも大きな影響を及ぼす。
 つまりここ数年で化石燃料の大半を再生可能エネルギー、自然エネルギーに替えていくこと難しいとしても、脱化石燃料はこの先日本が国際社会で生きていく上でも取らざるを得ない選択肢なのである。
ただ一方で、「自然由来の電源には問題も多く、その導入に懸念がある」という専門家も少なくない。その大きな理由は安定性とコストだ。

■風力発電は次世代を担えるか?

 たとえば風力。風は世界中どこでも吹くが、風力や風向きは季節や時間によって変わってくる。石油や石炭のように量や質を安定して確保することが極めて難しい電源である。

 NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータによれば日本における風力発電の平均稼働率(設備利用率)は、ほぼ2割強。施設によっては3割を超えるところもあるが、仮に条件が良くてもこれを火力発電のように稼働率を70%、80%まで上げることは現状のシステムでは難しい。

 だからと言って、風力発電に可能性がないとは言えない。たとえば近年取られている方向性は、風車の大型化である。風力発電は、ローターの直径(ブレード〈羽根〉の2倍)の2乗に比例して出力が上がる特性を持つ。
風力発電所が登場した1980年代当初の風車は、定格出力(その風車が発電できる最大ワット数の約80〜90%)が500キロワット/hクラスが主流だったが、98 年あたりから大型化し、現在では、風車の直径が70mを超える5000キロワット/h級の開発も進んでいる。ドイツでは6000キロワット/hの風車も登場している。
 風車が大型化することで、風車の中心部である「ハブ」の高さも高くなり、より風況も良くなった。

 さらに集合化も進んでいる。複数の風車を一定の場所に設けることで施設全体の運営効率を上げようという、いわゆる「ウィインドファーム」と言われるプラントがそれである。
現在世界最大のウインドファームはアメリカ・テキサス州にあるロスコーウインドファーム(Roscoe WindFirm)で、627基が設置され、73万5000キロワットの出力を誇っている。また近年では電子制御技術が進化したため、風況に応じた電力の取り出し率が高まっている。
こうした技術革新や運営効率の改善によって、設備利用率も確実に高まっている。アメリカのバークレー研究所が発表したデータによれば、98年前期に建てられた20発電所の2006年時点での設備利用率は平均23%だったが、2004年から2005年に建設された25発電所については、平均で36%に向上している。

(図)世界の主要国の風力発電導入量(2009年、MWベース)
2009年年末累積導入量(カッコ内は2009年新設容量)
出典:GlobalWindより作成

■発電コストも減少

 懸念されているコストについても、1キロワットあたり10円を切る施設も出てきており、火力発電や原子力発電と競争できるステージに入っている。
 さらに風力発電の場合は、設置が短期間で済み、また設置費用も安い。現在風力発電の建設コストは1キロワットあたり、20〜30万円ほど言われており、これも業務の専門化や効率化、技術革新等でさらに下がる可能性がある。また他の発電施設にくらべメンテナンスも容易だ。

 もう一つこうした再生可能エネルギーに取り組む必要があるのは、すでに海外で大きなマーケットが形成されており、日本が取り残されつつあるからだ。

 国際的な風力発電推進団体GLOBAL WINDによれば、2010年末時点での日本の風力発電導入量が230万4000キロワットであったのに対して、アメリカでは4018万キロワットあり、環境先進国ドイツが2721万4000キロワット、スペインでも2067万6000キロワットと10倍から20倍もの開きがある。これらを上回るのが中国で世界トップの4473万3000キロワットを誇る。またインドでも1306万5000キロワットと、いずれも日本を完全に凌駕している。

 日本は狭い国土に加え、国立公園や希少猛禽類などの生息地、景観、あるいは電波障害や航空障害などの事由から立地については制限があるが、海外市場の広がりを考えれば、立ち止まってはいられない。
 こうした高いポテンシャルをもった次世代エネルギーシーズはまだまだある。

■新エネルギーと再生可能エネルギーの違い

 ところで普段我々は再生可能エネルギーや自然エネルギー、あるいは新エネルギーなど何気なく使っているが、実はその定義や範囲はあいまいで、人やその人の属する機関や立場で変わってくる。
 国は1997年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」を施行しているが、ここでは新エネルギーと再生可能エネルギーについて、次のように区別している。

[再生可能エネルギー……★] [新エネルギー……●]
★水力発電
★地熱発電
★波力発電
★海洋温度差発電
★●太陽光発電
★●風力発電
★●太陽熱発電
★●バイオマス発電
★●バイオマス熱利用
★●バイオマス燃料製造
★●廃棄物発電
★●廃棄物熱利用
★●廃棄物燃料利用
★●温度差熱利用
★●雪氷熱利用

 風力発電や太陽光発電は再生可能エネルギーであり、新たに生まれた新エネルギーという位置づけだ。
 一方、自動車などで注目を集める燃料電池や電気とガソリンのハイブリッド、天然ガスのコジェネレーションは新エネルギーではなく、エネルギーの利用形態として位置づけられている。(続く)

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