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社説 転換期にある不動産業界 根底の「消費者保護」は普遍

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 1952(昭和27)年8月に施行されてから60年が過ぎた宅地建物取引業法は、「国民の極めて重要な財産である宅地、建物を扱う者を適正に規制し、消費者の利益の保護を図る」ことを目的に出発した。

 不動産業者を規制し、消費者保護を目指した業法制定の背景には、戦後間もない当時の住宅不足の問題があった。不動産取引の実務知識や経験に乏しい業者の急増によるトラブル増加や、一部悪質な行為も横行するなど社会的な問題となっていた。

 こうした事態を重く見たのは、行政は当然ながら高い使命感を持った不動産業者も同様だった。住まいに困窮する消費者を前にして、住宅・不動産の安全な取引を目指そうという業界の自主的な機運の高まりはそのまま不動産取引法立法促進連盟の結成に至り、業者登録、報酬などを定めた業法の制定を大きく後押しした。

 その後、宅建業法は数次に及ぶ大改正を重ねてきた。昭和32年の改正では、現在の宅地建物取引主任者制度につながる宅地建物取引員を専任の取引主任者として設置を義務付ると共に、営業保証金の供託が導入された。昭和39年改正では、登録制から免許制への変更が行われた。

 高度成長の最盛期にあった昭和40年代に入ると、重要事項説明の義務化、誇大広告の禁止、契約成立後の書面の交付が義務化された。営業保証金の額が5倍に引き上げられた昭和47年の大改正では、同時に業者による集団保証を行う保証協会の制度が設けられることになった。その後も不動産取引の増加や多様化に伴って、適宜業法の見直しがなされ、罰則の整備と共に消費者保護の姿勢は更に強く打ち出されていく。

全国で新たな取り組みも

 住宅不足を起点に、消費者ニーズに対応しながらこれまで不動産市場の整備を支えてきた宅建業法だが、今日は住宅は充足し、新築偏重から良質な中古住宅ストックの流通主体の市場へと転換途上にある不動産業は大きな転換期に差し掛かっている。折しも制定から60年、還暦を迎えた今年度は、仲介業務を担う不動産業者と、建築・リフォーム、保証、不動産鑑定、金融などの関連異業種が協力して、消費者の中古住宅需要に応えていくという、新たな試みが全国各地で本格化しはじめている。

 「国民の貴重な財産の取引を安全かつ適正に行う」という使命感を持っている点はこれら異業種においても共通認識であることに変わりはないが、文化の異なる異業種が協働するだけに慎重な意見も一方で聞かれる。そうした中、宅建業法の考えやこれまでの変遷を広く異業種とも共有して、不動産流通活性化という新しい市場づくりに一丸となって取り組むことが重要だ。

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