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コロナ禍で進む不動産DX  〝多様化〟に対応、地場の導入広がる 春商戦が「活用」の試金石に 

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「スマート申込」のサービスイメージ(提供・アットホーム) 非対面営業で活用が進む「THETA360.biz」
 非対面・非接触でのコミュニケーションの増加や住まい探し方法の変化など、新型コロナウイルス感染症に伴う顧客行動の転換点となった20年。多様化する働き方・住まい方に対応するため、住宅・不動産業界でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が進んだ。導入期から成長期への移行が期待される春商戦。先進的な業務支援事業者の取り組みから活用に向けた課題を考える。

賃貸業務をスマートに

 アットホーム(鶴森康史社長)が19年8月にリリースした「スマート申込」は、賃貸の入居申し込み業務をオンラインで完結する業務支援サービスだ。家賃債務保証会社への審査申し込みにも連携し、入居希望者・仲介会社・管理会社・保証会社による情報受け渡しの負担を大幅に削減。アットホーム加盟店が使う「ATBB(不動産業務支援総合サイト)」から利用できる仕組みとし、仲介会社の使いやすさと管理会社の業務フローに配慮した特徴を持つ。

 同社では、コロナ禍に伴う緊急事態宣言の解除や、積極的な導入キャンペーンなどを受け、20年6月以降、管理機能を使う契約加盟店数が増加。11月末時点で6000店を突破したという。

 もともと大手管理会社の導入が先行したが、20年は地場の割合が全体の7割まで拡大しており、21年5月までに管理機能の契約加盟店1万店という目標達成も射程圏内に入った。

 更に家賃債務保証会社とのシステム連携(20年11月末時点で累計18社)も進めており、このような連携の相乗効果として、仲介会社の利用も増加。「スマート申込」仲介機能の契約加盟店数は全国で8500店以上(同年11月末時点)と、管理会社の契約店数を上回っている状況だ。「地場会社が全体の7割と裾野が広がり、『スマート申込』による仲介会社契約数も大きくが伸びている。秋商戦までは大手、FC系の活用が目立ったが、次の春商戦は地場のパフォーマンスが判断できる」(同社営業推進室長・久保田剛一郎氏)と期待を込める。

接客、追客の場面で

 リコー(山下良則社長執行役員)が提供する360度画像のバーチャルツアー作成サービス「THETA(シータ)360・biz」も好調だ。建設、観光、中古車など様々な業界で活用が進むが、緊急事態宣言を契機に反響数が急増。非対面での営業対応やバーチャル展示会などでの需要増が後押しし、契約数が11月末時点で8000社を超えた。20年単年の契約社数は、前年比約50%増となる約3000社を見込むという。

 中でも不動産業界は同サービス全体の6割を占める主力市場だ。同社によると、直近では売買仲介や賃貸管理・仲介、特に中小規模の事業者の契約が増加。同社が展開した導入支援キャンペーンやウェビナー開催などに加え、近年、サービス開発においても「AI超解像」など〝誰でも・簡単に・高品質〟を実現し、事業者の業務効率化に貢献。地場、中小事業者の導入を促してきた。

 利用用途も従来のプロモーションや集客から転換。コロナ禍では、ウェブサイトや不動産ポータルサイトに埋め込んで二次元コードを物件チラシに掲載したり、URLをメールやSNSに添付して案内したりと、より実践的な営業現場での活用が進む。

「導入と利用」は両輪

 一般ユーザーの住まいの探し方も不動産事業者自身の働き方の変容も求められる中、不動産業界のDX化の現在地はどこにあるのか。リコーの同サービスプロダクト開発チームリーダーの鳥居理氏は最近の傾向として、サービス導入の意思決定が従来のマーケティングやIT部門から営業管理など不動産現場に近い部門で行われている点を挙げ、「非対面対応を望むエンドユーザーの意向で導入を決めた事業者もいる」と指摘。「20年はサービスの認知度が広まった凝縮期」と手応えを示しながらも「活用は次のステージ」と引き締める。

 例えばサービス導入後の業務工程を整備していく段階では、経営層と現場マネジメント層の意思疎通、社内体制の構築が求められるはずだ。鳥居氏は「カスタマーサクセス部門、プロダクト部門の連携を強化し、営業フローでより実践的な事例を集めて、横展開していきたい」と運用面でのフォローの重要性を受け止め、プロダクト面では不動産業務の自動化・省力化を進める開発を具体化し、事業者が本来業務に注力できる機会を増やしたい考えだ。

 アットホーム基幹サービス開発部長の原雅史氏も、「20年はホップ・ステップ・ジャンプでいえばステップの段階」と位置付け、不動産業界のDX化推進に意欲を燃やす。21年の春商戦では、「スマート申込」の契約数はもとより、実際のサービス利用数の増加とそれに伴う成果事例の共有が今後の事業強化で重要になると分析し、「まさに1~3月期が試金石。導入企業が増える中で浮かび上がる不満や課題を改善し、業務フローにのせる体制をとっていく。縁の下の力持ちとしてニュートラルな立場から業界を支える」と前を向く。

 昨年12月には不動産業務のDX化を推進するRENOSY X(リノシークロス)が不動産売買にかかる物件情報の確認や内見の日程調整などをオンライン上で完結するSaaS型システム「2秒でブッカク!」を大手の三菱地所レジデンスに導入。同サービスを通して蓄積された情報や知見を開発に生かし、不動産業界全体のDXへ貢献していく姿勢を打ち出している。

 事業規模を問わず、不動産DXの波といかに向き合うかは重要命題。その真価が問われる正念場の1年が始まる。

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