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関西圏 活気帯びる物流開発 高速道路整備が適地拡大促す 空室率は低位安定続く

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(出所)一五不動産情報サービス 「プロロジスパーク神戸3」が建設される産業団地(空撮に建物等を合成)。プロロジスは団地内に5棟開発 大和ハウス工業の「DPL茨木北」の完成イメージ。区画整理で生まれた用地に開発
 不動産市場で最も活況なのが物流施設だ。首都圏の需給にはひっ迫感が見える。一方、関西圏も新規開発が活発で、賃貸物流施設の空室率は低水準ながら安定している。用地取得の激しさも増すが、関西圏では新名神高速道路の全線開通が予定されており、開発適地の拡大を促している。全体の市況感、開発プレーヤーのケースをひもとき、関西圏の物流施設を検証する。(古賀和之)

 四半期ごとに賃貸物流施設の市況調査レポートを公表している一五不動産情報サービス(東京都大田区)によれば、1月時点の関西圏の賃貸物流施設(調査対象は京都・大阪・兵庫。延べ床面積、あるいは敷地面積が1万m2以上、調査棟数は132棟)の空室率は2.8%と低水準だ。20年1月以降、2、3%の低位安定を見せる(グラフ参照)。同社の曽田貫一社長は「首都圏の空室率は0.2%。それに比べれば高いが、需給バランスは良好、ややひっ迫」と説明する。

 開発エリアは業務継続計画などを踏まえ、湾岸部から内陸部へのシフトが進んできた。物流適地、特に内陸部での拡大は従来の高速道路、自動車道を相互に補完する新名神高速道路(新名神高速)により加速。名古屋市と神戸市をつなぐ新名神高速は23年度に全線開通が予定されており「新しい用地が生まれ、潜在化していたニーズが顕在化している」(曽田社長)状況だ。

新名神高速踏まえ

 21年の関西圏は大量供給の年に当たるが、プロロジスは兵庫県猪名川町にマルチテナント型「プロロジスパーク猪名川Ⅰ」「プロロジスパーク猪名川Ⅱ」を隣接する形で竣工する。両施設合計の延べ床面積は11万3981坪。2棟合算だが、同社では国内最大の規模。現時点でテナントの契約率は9割程度まで進み、物流ニーズを吸収する。

 猪名川町は新名神高速を街づくりに生かすため、企業誘致に取り組み、同社の提案が採択された。両施設は新名神高速「川西IC」から約2キロの地点だ。また、新名神高速を踏まえ、「プロロジスパーク茨木」(大阪府茨木市、16年9月竣工)、「プロロジスパーク京田辺」(京都府京田辺市、18年11月竣工)も開発し、適地拡大に呼応する。

 4月20日には、神戸市西区の複合産業団地内に「プロロジスパーク神戸3」を着工。立地は山陽自動車道「神戸西IC」に近く、新名神高速を利用し、広域配送のニーズに応える(関連記事=プロロジス、神戸市西区に物流施設)。

区画整理を重視 施設開発強化へ

 関西圏について、大和ハウス工業建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室の井上一樹室長は「関東では、東京、埼玉、千葉、神奈川と、単独の県を見ても、関西エリアに匹敵する物流マーケットがある。平野内に分散する形で、テナントのお客様にとっての物流適地がある。一方、関西エリアは大阪の湾岸部、その後背地である大阪府茨木市、京都府の南部などエリアは限定的」と説明する。

 物流適地が豊富に供給されるとは限らない。同社は区画整理事業の手法を用いて適地をつくることを重視する。20年11月着工のマルチテナント型物流施設「DPL茨木北」(大阪府茨木市、竣工は22年8月を予定)はその好事例だ。開発地は同社とグループ会社のフジタが共同で開発した産業団地「茨木北テクノタウン」(大阪府茨木市)内にある。両社は15年10月に同団地の開発をスタートさせ、建築条件付き区画としての分譲を終了。販売しなかった区画で「DPL茨木北」の開発を進めている。

 同社は需要の高まりを踏まえ、21年度の「DPL」シリーズでは単年度で過去最多の32棟を開発する方針であり、うち関西圏が5棟を占める。

 物流施設のマーケットで関西圏が占める割合は2割。同社における関西圏の比率は1割程度で、業界水準と開きがある。「DPL茨木北」と5棟を合わせ、建物の床面積で16万~16万5000坪を想定。全施設が完成すれば、23年度には2割に到達する見通しだ。

 「DPL茨木北」は新名神高速「茨木千提寺IC」から約1.6キロとアクセスがよい。また、開発計画の一つである「DPL兵庫小野」(兵庫県小野市、21年6月着工・22年3月竣工予定)も新名神高速の好影響を受ける。井上室長は「数年前であれば懸念されたかもしれないが、お客様から問い合わせがある、そういう事案になっている。社会インフラの整備は物流マーケットに大きなインパクトがある。特に高速道路の進ちょく状況は常に注視していく必要がある」と説明する。

需給良好が続く

 関西圏の市況は新型コロナウイルスの感染拡大以前から続く活況が継続していく見通しだ。21年は大量供給の年だが、テナントのプレリーシングは順調で、需給バランスが悪化する可能性は低い。

 開発用地の入札価格高騰、募集賃料の引き上げが懸念されるが、需要が供給を吸収し、需給が崩れる兆しはまだ見えない。

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