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住宅生産振興財団 民事信託で土地買収 埼玉県羽生市、分譲住宅地「アルコガーデン羽生岩瀬」 地権者31組 社団法人に委託

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社団法人スキーム(住宅生産振興財団資料より) 建物背面に電柱を集約し、公道はすっきりとした景観に 街区内の交差点。車が減速するように道をクランクさせる

 地権者31組からの土地取得に「民事信託」を活用――。住宅生産振興財団(東京都港区)がコーディネーターを務めた埼玉県羽生市の分譲住宅地「アルコガーデン羽生岩瀬」(全84区画)の開発で、換地地権者と売買するのに民事信託が活用され、注目を集めている。30を超える地権者数だったが、地権者でつくる一般社団法人に当該土地を信託する形をとることで、分譲事業に参画するハウスメーカー2社は一括で契約ができ(図参照)、事業期間長期化などのリスクを低減できた。今後、地権者数の多い区画整理事業などで有効な手段となりそうだ。

    ◇    ◇

 民事信託とは、家族信託とも呼ばれ、超高齢社会の財産管理の一手法として近年、活用事例が増えている。一般的には高齢の親(委託者)が所有する自宅などの不動産の管理・処分を子供(受託者)に任せるために使われることが多く、今回のようなケースは珍しい。同財団によると、「財団としては初めて。国内でも2例目だろう」という。

 現地は東武伊勢崎線、秩父鉄道の羽生駅から徒歩14分。羽生市が進める土地区画整理事業の一部「愛藍タウン」(2万4650m2)内に位置する住宅街区(1万8095m2)だ。市はコンパクトシティを目指しており、徒歩圏内に大型商業施設や病院、学校がそろう。

 同街区の開発について同財団が関わり始めたのは5年前。既に仮換地指定が終わり、南北に縦長の街区内には東西をつなぐ5本の区画道路も整備(いわゆる短冊換地)され、買い手となる事業者を探している段階だった。ただ、事業者側の目線で見ると、「31組という多数の地権者一人ひとりと交渉して売買契約を結ぶには手間と時間がかかる」「高齢者が多いので途中で相続が発生する可能性がある」「現在の道路付けでは、ユーザーニーズに合う区画割(敷地面積)が難しい」などの課題があった。

 そこで、地権者全員が社員として加入する一般社団法人「AIAI」を設立(理事長は地権者から選出)し、同社団法人を受託者、地権者を委託者・受益者とする民事信託のスキームを構築。所有権を持つ同社団法人が売主となり、分譲事業に参画するハウスメーカー2社と売買契約を結び、売却代金は同社団法人から各地権者に分配した。

事業リスク低減

 こうした仕組みを構築する上で、地権者に対しては、同財団が市と連携して数回にわたり事前説明会を開き、信託スキームの理解や金額などを含めた条件について合意を得ることから始めた。19年2月に社団法人を設立し、同年6月に売買契約を終えた。社団法人という器に権利(名義)を集約したことで事業期間の長期化を避けることができ、かつ、よりよいランドスケープデザインが可能という副産物もあった。

 従前は街区内は東西をつなぐ5本の区画道路のみだったが、新たに南北を結ぶ歩行者専用道路を整備し、両脇には植栽帯を設け、季節の変化も楽しめるようにした。区画道路との交差点には舗装の色に変化を付け、道をクランクさせることで車が減速する仕上げとした。また、各住宅の裏側に当たる部分には居住者専用の共用通路を設け、回遊性を高めると共に、同通路に電柱を集約。それにより街区内の公道を無電柱化し、すっきりとした景観を実現した。

 同分譲地の事業主は、積水化学工業とトヨタウッドユーホーム。5月中旬にテープカットセレモニーを開催し、現在、第1期(27区画、1区画約200m2)のうち、13区画が販売済みとなっている。

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