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改正電子帳簿保存法 バックオフィス業務の電子化を 

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電子契約を軸に、各サービスを選び連携して導入できる 請求書や契約書などが各サービスを同じプラットフォームで連携する
 デジタル改革関連法が9月1日に施行された。不動産取引の場面でも、電子契約などのデジタルツールの活用が加速していく。住まいの賃貸借の申し込みや新規入居契約、家賃債務保証会社などとの一連の「フロント業務」の手続きで〝一気通貫〟なデジタル化が一層進展する。一方、「バックオフィス業務」では紙の書類が残り、出社を余儀なくされている。見積書や発注書、契約書、請求書などを含めた一連の手続きの〝デジタル全体最適化〟が実現すれば、その先に「DX」が見えてくる(8面に関連記事)。(坂元浩二)

 

 全体最適化のためには、「フロント業務」と「バックオフィス業務」の2つのルートの一連業務の〝一気通貫〟なデジタル化が必要になってくる。デジタル化を導入部として取り組むことで、最終目標の〝新たな顧客価値・体験〟を提供するDXを推進できる。

法改正で要件緩和

 バックオフィス業務のデジタル化を促進させる動きがある。国税関係書類に対する特例で「電子データ」による保存方法を認めている改正電子帳簿保存法(今週のことば)の施行が22年1月に迫っている。企業などの電子化を加速させるため、大きく3つに分けて規定する「電磁的な保存方法」のそれぞれで今回、要件が緩和される。

 仕訳帳や総勘定元帳の「帳簿類」、貸借対照表や損益計算書の「決算書類」を自社の会計ソフトなどで電子的に作成して保存する「電子帳簿等保存」と、相手から請求書や領収書などを紙で受け取って画像データで保存する「スキャナ保存」は、法改正により、「税務署長の事前承認制度」が廃止されて、要件が緩和される。同様に相手から請求書や領収書などを電子メールやネットからのダウンロードで電子的に授受して保存する「電子取引」では、その電子取引データをプリントアウトした紙を保存する代替方法ができなくなるなど、措置の強化もある。〝電子データは電子データのままに〟との法改正の趣旨に沿った形だ。

中小企業も導入しやすく

 ただ、法改正で、スキャナ保存でのタイムスタンプの付与期間が従来の3営業日以内から最長2カ月とおおむね7営業日以内に延長される。受領者がスキャナで読み取る際の自署は不要になる。電磁的記録の訂正や削除を確認できるか、そもそも訂正や削除ができないクラウドサービスを利用すれば、タイムスタンプの付与に代えられる。スキャナ保存の適正事務処理規定で受領者以外による領収書の原本と電子データの突合(相互けん制)が不要になる。

 マネーフォワード・マネーフォワードビジネスカンパニー・リーガルソリューション部部長の和田直樹氏は、これらの要件緩和により、「中小企業でも、様々な手続きで電子化の取り組みがしやすくなる」と強調する。

 

電子契約サービス軸に

DXで顧客価値・体験の創出を

 ビジネス向けクラウドサービス「MoneyForwardクラウド」を提供するマネーフォワード(東京都港区)は5月から新たに、紙と電子の両方を一元管理できる電子契約サービス「MoneyForward クラウド契約」の提供を始めた。従来の会計・財務や人事・労務領域のサービスと共に、バックオフィス業務のデジタル全体最適化を支援する。電子契約サービスを軸に、好みに応じて各サービスを選んで連携する〝アラカルト形式〟でも導入できる(イメージ上図)。

 社員の経費精算では、一つひとつの作業は短時間でも、申請者の書類作成から経理担当者の手続き、承認までを考えれば、年間で膨大な時間が掛かる。バックオフィス業務のデジタル化は、業務の効率化や生産性の向上に必須になるが、人的なリソースが不足しがちな中小企業では、すぐにすべてを電子化すると逆に混乱する。「デジタル化の運用フローの仕組みや社内ルールづくりの事前準備が重要。請求書の発行など、様々なバックオフィス業務がある。契約を起点に一気通貫なデジタル化を実現できれば、DX推進の最初のステップになる」(マネーフォワードの和田氏)。

 同社はバックオフィス業務全体を包括するデジタル化サービスの提供を通じて、クラウドによるERP(顧客関係管理)の世界観の構築を支援している。

DXを見据えて

 取引相手の意向や都合で、どうしても紙の書類が残る場合、自社の観点だけでなく、相手の合意や理解を得ることが必要。紙とデジタルの双方に対応する体制づくりが大事で、「何を電子化するのか。印紙代を減らしたい、担当者をほかの業務に振り分けたいなど、企業によって観点の切り口が違う。設定したゴールから逆算し、対象書類を線引きして整理することが、デジタル化と運用の〝成功の鍵〟になる」と語るのは、インフォマート・電子契約事業執行役員の齋藤文彦氏。

 事業者間の電子取引のデジタル化サービス「BtoBプラットフォーム」を提供するインフォマート(東京都港区)は、7月に新サービス「BtoBプラットフォーム TRADE」の提供を始めた。見積もりから受・発注、納品、受領・検収などの取引書類を電子データ化し、同社の「請求書」や「契約書」の各サービスと連携できる。企業間の一連の商取引を同じプラットフォーム上で容易に完結できる(イメージ右図)。DXの推進を見据えると、「単純に現行業務をデジタルに置き換えるのではない。デジタル化を前提に従来の業務慣習も変革する。旗振り役の経営層の積極性や覚悟も必要になる」(インフォマートの齋藤氏)。

 デジタル化では、「当社は単に操作マニュアルを提供するのではなく、食品業界を中心に、顧客の現場で導入や運用に伴走してきた長らくの実績がある。導入に伴い発生する、業務全体の見直しの支援も行う」(インフォマートの齋藤氏)など、実現を支えるパートナーが必要。「データの改ざんを防ぐ機能を持ち、電子帳簿保存法に適合する最適なITツールを選ぶこと。当社の電子契約サービスではワークフローを設定でき、閲覧権限や承認機能などを用いて的確に内部統制ができる」(マネーフォワードの和田氏)という観点が重要になる。

デジタル化の波に

 長期的な視点に立つと、いずれ社会は、あらゆる場面でデジタルに移行する。その波に乗り遅れれば、爆発的に増える貴重なデータを使いきれない。導入部のデジタル化の機会を失すれば、DXの最終目的である新たな顧客価値・体験を提供できなくなる。デジタル競争の敗者になりかねない。普及が加速する電子契約などを軸に、「フロント業務」と「バックオフィス業務」の双方で〝一気通貫〟なデジタル化が重要になってくる。

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