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ESG投資(1)オフィス編 ビルオーナー変わる意識 グリーン化コスト織り込め 賃料上昇と取引活発に弾み 世界水準の環境都市へ本腰

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気候変動への耐性や従業員の健康も焦点に
 気候変動への対応が急務となっている。消費者が企業価値を判断する評価軸は、従来の財務面だけではなく環境を考慮しているかどうかも加わり、投資家は資金の振り向け先の選別で環境を重視する。SDGs(持続可能な開発目標)と並んでESG(環境・社会・ガバナンス)投資が企業経営の持続性につながると期待され、グリーン化のコストを織り込んだ事業戦略が求められている。住宅・不動産業界の環境力をシリーズで追う。

 政府は、30年までに温室効果ガスの排出量を13年度水準から46%削減する野心的な目標を掲げているが、森記念財団都市戦略研究所の「世界の都市総合力ランキング」21年版からは環境対策の遅れが見て取れる。東京は総合で3位に付けるが、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの分野ごとのランキングで環境が唯一トップ10から外れ17位に沈んだ。

 そうした中で、不動産大手は、環境への負荷を軽減する取り組みを加速し、世界水準の環境都市づくりを目指す。三菱地所は、「長期経営計画2030(ESG取り組み)」の中で30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を18年3月期比で35%削減し、50年には同87%削減する目標を掲げている。丸ビルではコロナ前の19年に業務・産業用燃料電池システムを採用し、一般電力の購入と比べて約50%のCO2が削減できた。再生可能電力の比率も19年3月期の1.3%の実績に対し、30年に25%に引き上げ50年に100%とする。廃棄物再生の利用率は30年に9割とする。

 同社は11月22日、代表的なESG株式指数のダウジョーンズサステナビリティインデックスに昨年に続いて選定を受けたと発表した。アジア太平洋地域での評価トップ20%の企業が組み入れられる指数だ。環境への取り組みが評価を受けている。

 脱炭素に向けて〝環境不動産〟は住宅・不動産業界にとって最大のテーマだ。グランフロント大阪は、大規模複合施設として関西エリアで初めて100%再生可能エネルギー由来の出力に22年9月1日に切り替える。年間CO2削減量は2.5万トン超と想定している。ただ、省エネに向けての改修を施すことで営業利益が減少につながらないか。目に見えにくい環境対策コストに及び腰の不動産オーナーも少なくない。

 日本不動産研究所が国内の不動産投資家189社に実施したアンケートによれば、ESG投資に適した不動産とそうではない不動産の賃料収入について、足元では「特に違いがない」との回答が8割超を占めているが、10年後には「1~5%程度高い」が6割を占めている。収益力が増すならばグリーン化に向けたコストは十分に吸収できる。

 モルガンスタンレーMUFG証券は、同社がカバーするJリート7銘柄を対象に分配金やNAV(純資産価値)がどう変化するのかを定量化し、30年までの時間軸を念頭に賃料収入やカーボンプライシング、省エネ改修、光熱費の潜在的な変化などを試算したところ、同社アナリストの竹村淳郎氏は、「賃料収入はグリーンビルディングとそのほかで賃料収入に3%の差が付き、CO2排出量1トン当たり1万1000円の炭素税が課される。省エネ改修で光熱費が減少する一方で光熱費の単価は6%上昇する」と話す。環境認証を受けたビルは賃料収入が1.5%上昇し、その他は1.5%下落することを前提に分析している。

 世界の二酸化炭素排出量の40%は不動産・建築物関連によるものだ。JLL日本の河西利信社長は「当社の顧客は外資系企業が多いが、オフィスの移転や新しく開設する際に、これまで副次的な項目であった環境性能を社内基準に置く企業が急速に増えており、環境性能が不動産取引に大きな影響を与えつつある」と実感する。欧州の強いプレッシャーも手伝い、目標にネットゼロカーボンを掲げる企業が増えて不動産オーナーの意識改革も進んでいる。

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