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暮らしを創る賃貸(上) プロフェッショナル化の時代  

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〝相続税対策ありき〟からの脱却必要に
 都市農家など土地オーナーの賃貸経営が転機を迎えている。高齢地主が相続税対策を目的に単なる若者向けマンションを建設する時代は終わった。「賃貸用」空き家の増加が示しているように需給関係が悪化しているからだ。今後は〝子育て〟や〝環境共生〟など明確なコンセプトと、収益性を維持していくための長期修繕計画を備えた賃貸経営が求められている。管理業者登録制度が実質的にスタートした今、賃貸住宅管理業者の新たな役割もそこにある。

 18年の住宅・土地統計調査によると全国の空き家は848万戸で、そのうち、賃貸住宅の空き家が432万戸と過半数を占めている。こうした状況は今後も続きそうだ。というのも、貸家の新設着工戸数を見ると18~20年は金融機関の引き締めの影響で減少したが、21年は32万1376戸(前年比4.8%増)と再び増加に転じ、直近の今年4月の統計では14カ月連続の増加となっている。日本の若者人口は減少し続けており、今後の需給関係を考えると賃貸用空き家が増え続ける可能性は高い。

気になる生産緑地

 需給関係で気になるのが、今年30年間の営農期間が満了する「生産緑地」問題だ。政府は大量の宅地供給を避けるため、新たな「特定生産緑地制度」を設け、更に10年延長できるようにしたが、農家の高齢化自体を止めることはできない。ということは相続が発生して営農ができなくなれば、一定の手続きを経て売却する、宅地並み課税のもとで活用するといった選択をするしかない。確固とした採算見通しもないままアパートを建設するケースが増える心配がある。

 この点について、NPO法人都市農家再生研究会の藤田壮一郎専務理事はこう話す。「生産緑地は、駅近くの好立地とは限らない。むしろ駅からバス便のようなケースも多い。都市農家は、生産緑地だけでなく、それ以外の所有している農地や宅地も含めて総合的に活用を考えたほうがよい」と話す。建築費高騰が続いている今、当初計画よりも収益性が落ちる可能性があることにも注意を促す。 

趣味を楽しむ

 需給見通しに懸念はあっても先祖代々受け継いできた土地を守っていくためには土地活用が欠かせない。そこで近年増加し始めているのが、同じ若者向けでも楽器演奏を部屋で楽しめる〝防音マンション〟や愛車と共に暮らす〝ガレージ付き〟などのコンセプト賃貸だ。ニッチな市場のように見えるが、趣味にこだわり生活を楽しみたいという若者志向は強く、駅遠立地でも人気を集めているようだ。

 しかし、今は需要のほうが強くても供給が増えれば競争は厳しくなる。経年劣化で家賃を下げざるを得なくなるようなら、結局は従来型マンションと同じ悩みを抱えることになる。そこで、これからの賃貸マンション経営のカギとなるのが「長期修繕計画」だ。計画的に手入れをしていけば、入居者の快適な住環境確保や、家主の資産価値維持にもつながる。自民党賃貸住宅対策議員連盟(石破茂会長)は、先般開かれた総会で、屋根と外壁工事を対象に始まった大規模修繕積立金の損金算入制度について、議論や課題を踏まえて工事対象範囲の拡大要望に応えていく旨を述べた。

 土地オーナーによる賃貸マンション経営はこれまでの〝相続税対策ありき〟だった時代から、管理業者などの専門家と共に戦略を練るプロフェッショナル化の時代に移行する。6月15日に管理業者の登録経過措置が終了し、実質スタートした賃貸住宅管理業法に基づく管理業者の役割がそこにある。 (井川弘子)

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